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失敗するフィリピン親子留学 vs. 成功するフィリピン親子留学【2】:とにかく”子どものため”?!

フィリピン親子留学の失敗/成功:分けるのは何?
フィリピン親子留学の失敗/成功:分けるのは何?

◆「親のため」vs.「子どものため」

本記事は、『失敗するフィリピン親子留学 vs. 成功するフィリピン親子留学:とにかく”安く”?!』【1】の続編です。

 

親子留学の成功・失敗を分けるもう1つの要因は、その目的です。

 

目的は大きく分けると、「親のため」(親自身が英語力アップをしたいから、親自身が前から留学をしたかったなど)と「子どものため」(子どもに英語を好きになってほしい、子どもの英語力向上など)の2通りあります。もちろん、親子共という場合はありますが、実際は、たいていどちらかに軸足が置かれています。

◆「親自身のため」の方が・・・

これまで100組以上の親子留学を間近に拝見してきて、「親」目的の場合、留学はたいてい平穏で手応えのあるものになります。

 

<とにかく英語力をつけたかったY恵さん>

たとえば、Y恵さんファミリー(30代母親Y恵さん、4歳F君インター通学)。当校(ウィル・イングリッシュ・アカデミー)で親子留学3か月。留学の目的は、Y恵さんの英語力向上でした。ある程度できる方でしたが、さらに力をつけて転職後の仕事につなげたいと非常に意欲的でした。「Fについては英語に関心もってほしいとか全く考えていません。毎日、楽しくインターに通ってくれればそれでいいかなぁ」とのことでした。

 

Y恵さんは、F君がインターにいっている間、一所懸命英語に取り組んでいました。その成果あってか、当初の目標をクリア。留学後オーストラリアに行かれ、TECSOL(英語を母国語としない子どもに英語を教える国際的な教授資格)を取得され現在仕事で使われていらっしゃるとのこと。

 

F君は、ママの期待とおり、毎日楽しくインターに通っていました。インターで習ってきたことを私たちの前で披露してくれたりその仕草がなんとも可愛いらしく学校中のアイドルでした。そんなF君が3か月目に入った頃から、先生たちと英語でおしゃべりをするようになりました。その自然できれいな発音にママのみならず皆が感動させられました。

 

<ずっと前から留学したかったK子さん>

もう1つのケースは、K子さんファミリー(30代母親K子さん、R13歳、Mちゃん4歳)。当校で親子留学4か月。Mちゃんはインター通学。「親子留学」はK子さんのいつかやってみたい夢だったとのこと。ずっと忙しく働いてきて、気づけば思春期が始まりつつあるR君に「このまま親離れされてしまったら絶対に後悔する。行くなら今!」と当校にやってきてくれました。

 

結果、家族中、大、大、大満足の留学生活を過ごしていただいきました。オマケ(?)だったMちゃんも先生と英語でコミュニケーションがとれるほどに。その充実の留学生活については体験記をブログにアップしてくださっているので、こちらをご覧いただければと思います。

 

これらのケースのように、親の夢・目的が前面に出ている留学はたいてい傍から見ていても心楽しく微笑ましいものとなるようです。

当校での親子留学体験記:K子さんファミリー
当校での親子留学体験記:K子さんファミリー

◆親の思いとは裏腹に

 一方、「子どもため」に親子留学された方のなかには、親子ともに疲れてしまうケースが多く傍目にも辛いものがあります。

 

たとえば、S子さんファミリー(30代母親S子さん、A9歳、T8歳)。当校(ウィル・イングリッシュ・アカデミー)で親子留学3か月。子どもさん二人は昼間インター通学、帰ってから夕方に2時間マンツーマンレッスン、夕食後はS子さんが英単語を教えるという過密スケジュールをこなしていました。

 

留学の目的は、「英語ができる子に育ってほしい。10歳になる前にスタートしなければと焦って連れてきた。小学校卒業までに英検3級を取らせたい」と明確でした。

 

ただ、子どもたち本人は英語に意欲・関心がなく、当校のマンツーマンレッスン担当教師いわく、「全くやる気がない」「こちらの言うことを聞いていないので時間の無駄」。楽しくないのか、表情が暗く笑顔がほとんどみられないのが気になりました。結局、父親の転職を機に予定を早めて帰国。子どもたちは帰国できると聞いて、大喜びでした。

 

さらに悲惨なケースもあります。母親が子どもを原発から守りたい(ついでに子どもに英語力をつけたい)という理由でドゥマゲッティにいらしたWさんファミリー(30代母親、7歳と4歳の子ども)です。

 

3年近く、「自前留学」をしていらっしゃいましたが、最後は離婚し子どもたちだけが日本に帰りました。離婚の理由は、もちろん、親子留学だけではないでしょうけど大きな契機になってしまったことは確か。子どもたちにとってはやはり悲しい結末といえるでしょう。

南国の太陽のもと:プール遊びは毎日の日課
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◆「子どものため」という親の気負い

私も人の親ですから、英語ができる子に育ってほしいという親心はよくわかります。特に、最近では英語教育が早期化、2020年からは小4から英語と聞くと、「私がいま頑張ってやってあげたら、この子は将来英語にコンプレックスをもつことなくぺラぺラ喋れるようになる?!」そんな気負いを持ってしまう親も少なくないでしょう。

 

私の場合は、英語ではないですが、音楽に関して気負った経験があります。自分が音楽の素養ゼロなのに、いや素養ゼロだからこそ、子どもには小さい頃から音楽をやらせたい、そんなふうに思いました。そして、3歳になったばかりの長女を「鈴木メソッド」のバイオリン教室に通わせたのでした。“どの子も伸びる”の謳い文句に誘われて・・・

 

しかし、3歳の子どもが自分から練習したり調弦ができるはずもなく、いきおい習わせたいと思った私が「さあ、やりましょう」と音頭をとるしかありません。ここで困ったのは、絶対音感がない私には調弦ができないことでした。

 

絶対音感がないからこそ子どもには早くから音楽をと思ったのに・・・。見事、撃沈。こうして長女に絶対音感をつける作戦は早々に失敗しました。早くに撃沈したから被害(親子ともの時間、レッスン・楽器代、ストレスなど)は最小化できましたが、へたに私に音楽的素養があったら、子どもを大のバイオリン嫌いにしてしまっていたかもしれません。

 

スポーツや楽器など親が果たせなかった夢を子どもに託す。結果、かえって「~嫌い」にしてしまう例は枚挙にいとまありません。

「育つのはごく一握り」をつくつく思い知らされました
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◆英語嫌いにしてしまうことも・・・

最近の第二言語習得研究によれば、英語学習をスタートする時点としては、第一言語である日本語が確立され10歳以降でも全く問題ないとのこと(この点については別の記事「????」)。かえって親が10歳以降では手遅れとばかりに焦って強要すると、一生、英語に対しては心を閉ざすことにもなりかねません。最悪、英語アレルギーです。

 

息子のパートナーはアジア系外国人ですが、日本人と間違えられるくらい卓越した日本語を話します。読み書きも日本人となんら遜色なくこなします。18歳のとき1年日本の大学に留学したようですが、10代後半で日本語ドラマにはまり、t関心をもったことが日本語に目覚めたきっかけだといいます。

 

かように優れた言語習得能力をもつ彼女ですが、英語は話しません。やりたいとも思わないとののこと。理由は、「子どものときやらされ過ぎて、嫌いになっちゃった」からだそうです。学校も親も子どもに「英語! 英語!」と強要する環境のなかどうやら英語アレルギーになってしまったそうです。

 

最後に、実際、英語学校で対応したケースをご紹介します。完璧「英語アレルギー」のお子さん(G君、9歳男児)でした。マンツーマンレッスンを担当した教師たちの話によれば、レッスンが始まるやいなや、G君は自傷行為(自分の髪の毛を激しく掻きむしる、自分の腕にペンで血がでるほど傷つける、大声で泣く・・・)を始めたといいます。外に出て、“one, two, three”とキャッチボールでトライするも絵を描きながらゲーム感覚でトライするも閉じた貝のように全く受け付けなかったとのこと。

 

教師に相談を受けた私は、お母様に尋ねました。「G君がそこまでイヤがっているのに、なぜ英語をさせたいのですか?」。それに対する答えは、「Gが英語アレルギーだとの認識はあります。でも、これからの時代、英語ぐらいできなくちゃダメでしょ」でした。G君の英語アレルギーが悪化しないことを祈るばかりです。

【筆者紹介】平山順子  

元名古屋大教育学部准教授(発達心理学Ph.D)

共著書『家族心理学への招待』(ミネルヴァ書房、2019年現在、第2班9刷発行のロングセラー)

現在、フィリピンで英語学校「ウィル・イングリッシュ・アカデミー」を経営。発達心理学の視点から子育てを応援サイト「ワクワク育児革命~子育て・夫婦関係に悩むママ・パパのために」を運営。

 

【お願い】英語学校ウィルは地元少年サッカーチームSPARTAN FC(貧困家庭の子どもたちが中心)のスポンサーをしています。地元リーグで準優勝を飾る強豪(?!)なのですが、靴はボロボロ、ボールはボコボコが悩み。中古のサッカー用品(靴7~17歳)を寄付してただけませんか? 「お問い合せ」でご連絡下さい。